グローバルECサイトeBayにて、日本から最も多くの国へ、その各地域での売上を上げて
eBay Japanより表彰をされた企業そして商品をご存知でしょうか。
その商品とは・・・
それは、アナログレコード。
グローバルに飛躍する、その企業は、FTF株式会社。
かつては、アナログのレコード屋さんでしたが、今や中古レコード業界の先駆けでいらっしゃいます。
そんなFTF株式会社CEOの武井進一さんから、文字通り超アナログ会社が、デジタルかつグローバルな企業へと華麗に脱皮したストーリーを伺ってみました。
まず、あなたは、レコード販売店と聞くとどんなイメージを持たれるでしょうか。
1990年代ヒップホップ、レゲエ、テクノをはじめとするクラブミュージック、レコードの聖地である渋谷宇田川町は、万人が近づきやすいという環境では決してない時代でした。
まだ当時、日本としては、マイノリティな人々へ向けて、マイナーな音楽を扱うことが多かった宇田川のレコード屋。
なんとなく恐い人たちが店の前にいる・・・若者だけの音楽・・・サブカルチャー・・・
音源は、カセット、CDとなり、MP3などのデジタル音源へ。
今では、誰しもが持ち運びができ、オンデマンドで入手できるようになりました。
それが、FTFでは、いまだアナログレコードを販売し、日本のみにとどまらず、独自のアプリ開発して、その市場を価値を高めながら世界へと拡大をしています。
今では音楽の本場であるNYブルックリンに進出し、日本のアナログレコードを4000枚 以上並べ、売り上げを伸ばしています。
武井さんの事例、超アナログな小売店が、デジタル化してグローバルに羽ばたいたストーリーから、あなたの会社でも、活用できるヒントを得ていただきたいと思います。
時代の流れを先読みして、ニッチマーケットで売上を伸ばし続ける
約25年前ーーー
渋谷センター街の最深部、薄暗く落書きだらけのレコード屋並ぶ宇田川町の一角、
夢だったご自身の店 face recordをスタートさせました。
音楽を聴くメディアは、レコードからCDにほぼ切り替わり、界隈の中古レコード店は、大手の値下げ攻勢を受け、次々と閉店していきました。
しかし、武井さんが扱っていたジャンルは非常にマニアックでニッチな分野だったため、インターネットが普及する前ということもあり、マニアックなレコードは、海外で安く仕入れられ、日本で高く販売することができました。
例えば、海外で仕入れた100万円分のレコードは、日本では200万円のレコードに化けたそうです。
ところが、インターネットが一般にも普及しはじめたとき、レコードの国内外価格差がなくなる時期が早くなったと予測していました。
ネットで安価なレコードが入手できるようになり、次々レコード店が追い込まれるなか、武井さんは、レコードを好むターゲット層をリサーチし、人気があるジャンルのレコードを仕入れるなど、売り上げを伸ばしていきました。
ニッチな世界だからこそ、探究心と動向を見極める必要があるそうです。
武井さんが趣味のDJから、起業されるまで、お客様に商品を届ける想いは一貫しており、それはレコードをディグる(=掘る(dig))作業そのものです。
廃業も考えた・・・最も大きな変化からデジタルを積極的に取り入れることに
2001年6月にFTF株式会社を設立し法人化した。3ヵ月後、世界を震撼させる同時多発テロが起き、売り上げが一気に下降。
このままではダメだと、2008年にECサイトを作成。
ITに馴染みのない同業者からは、「レコードを取り扱う人間がPC触ってどうするんだ」など、かなり否定されたそうです。
*事実、ECサイトがない同業者は時代に付いていけなかったとのこと
順調に売上は推移したが、東日本大震災からの不況の影響で経営的に大ピンチに陥ったそうです。
「レコードが少なくなっても、顧客のニーズ、ECサイトなど企業努力はしていたので、今まで乗り切れたが、今回ばかりは本当に無理かもしれない。」
武井さんは真剣に廃業を考え始めました。
そのとき、日本の商品はアメリカで人気があったことを思い出します。
ITに抵抗がなかった武井さんは、販路拡大にeBayを活用。
国内の販売から、海外向け販売に転じると業績が回復。
理由としては、品質の良さ。
日本製のレコードは、ビニールの素材が良いと思われている上に、丁寧に扱われているため中古でも状態の良いものが多いのです。
さらに、海外盤にはない帯や歌詞カードが付属していることが、海外での日本のレコードの人
気につながっていて、一定の需要が今もあります。
*NHK 2020年3月2日(月)”おはBiz”のクールジャパン企画で特集された時の様子
e全世界50ヶ国以上に発送、各国で売上をあげ、eBayのグローバル・セラー・アワードを受賞
そんな日本の中古レコードは狙い通りに、海外でヒット。
2019年にはeBayで、アメリカ以外に販売した国・地域の売上が最も多かったセラーとして『グローバル・セラー・アワード』を受賞。
アメリカ以外の国に最も商品を売った会社として表彰されるまでに成長。
2018年、海外進出を目指しニューヨークブルックリンに出店。
元々はイギリス出店を希望していたが、ブレグジットの影響を懸念して断念。
音楽の中心地で、日本製であることの価値が発揮されるのではという仮説のもと、ターゲット層はアメリカのヒップスター(流行に敏感な人たち、ちょっと変わったサブカル好き趣味の人たち)へ絞ったそうです。
そこから開店までは早く、アメリカのコンサルタントに頼みスタッフを派遣して7月に開店。
今年で2周年を迎えるFace Records New York。
海外に実店舗がある事は会社の強みにもなっていると言います。
その後、2019年の4月には、レコードフリマアプリ『GO DIG』を独自に開発。
その特徴は、ジャケットの写真を撮るだけで簡単に出品できること。
コレクターが、レコードをディグる(掘る)感覚をそのままに、デジタル化×ニッチ戦略で形にしたアプリが、まさにこちら。
独自の画像認証技術をアプリ内に搭載しているので、ジャケットを撮影すれば、100万件以上の販売履歴をもとに作成した商品データベースとひもづけられます。
また、出品後、売れ残った商品は事務局に買い取り査定をしてもらえるので、ユーザー目線でデジタル上のサービス面もとことんこだわりを追求。
今後は、『GO DIG』の普及と、インバウンドに対応した店舗展開や、ECとリアルの融合、他商材へのチャレンジを目指したいとのこと。
コロナが落ち着き、チャンスがあれば、海外にもう一店舗出したい考えを持っていらっしゃいます。
そして、こうした新たな取り組みも会社や体制が整ってきたので、任せられるスタッフが出てきてくれたとのこと。
人脈と見聞を広めて、他の会社とのコラボなどから新成長事業を創るため、これまで考えられなかった事業にも乗り出したいと考えているようです。
「不要なレコードやCDがあれば適性価格で買い取ります。そして『GO DIG』は、レコードを相場価格で販売できるので、ぜひご活用してください。あと、eBayでの自社商品の販売に興味のある方は、ご相談いただけたら、何なりと相談に乗りますよ」
と各方面へのコラボレーションを呼びかけてます。
そんなきっかけから、先日取材した相続支援センター米田さんとも、業界を超えた相続×レコードのコラボも生まれました。
常に先を見据え、時代に合った戦略を堅実にこなしていく武井さんは、良質な日本製品を輸出し、今後のアフターコロナを見据え、経済を底上げしていただけるはずです。
超アナログな会社であっても、デジタルを上手く使いこなせば、テレワーク、オンライン時代でも一発逆転も可能だと希望をいただきました。
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