FC130店舗ある学習塾ある中でも、もっとも生徒が多い校舎は、宇都宮駅から徒歩15分ほどの場所にある街道沿いにあります。
外観、そして校舎内のブランド・イメージは統一され、清潔感があります。
しかしながら、特別に大きな施設ではなく、個別指導型というのに、生徒同士のパーソナルスペースは非常に近いことに驚かされます。
そして、生徒数でも売上規模でも関東随一である、この校舎の責任者は、業界未経験の20代の女性。
この学習塾を関東圏に展開するのは、株式会社WITS。
代表取締役は喜多野 正之さん、非常に論理的ではありますが、社員に愛される、遊び心のある方です。
そんな喜多野さんが、異業種からの起業、さらには3年後の離職率が100%の会社から、いかにして130店舗まで展開したのか!?
その型破りなマネジメントを紐解いていきたいと思います。
あえて業界シェアのあるフランチャイズを選ばない!
理系思考で、探究心の強い喜多野さんは、進路として物作りか教職を目指していましたが、大学卒業後は、医療機器メーカーの営業職に就職し、トップセールスマンとして活躍。
その後、コンサルティング会社に転職、さらにベンチャー企業3社の役員に就任し、倒産という厳しい現実に直面しながらも、再起!
次に浮かんだのは学習塾の経営。
学生時代に教職員を目指していたこともあり、小資本で事業をするなら、FCに加盟したほうが良いと考えていました。
30年後を見据え、広く事業を展開しているほうが”他者や世の中への貢献”になると考え、その時から、ひとつの個人塾で終わせないと決めていたそうです。
教育者として塾の方針に対しても、ただ子ども達に勉強を教えるだけでなく、これから生きていくための考える力を養ってほしいという熱い想いのもと、
喜多野さんはFCを募集している学習塾の中から、自分未来教育(ITTO個別/みやび個別指導学院)を選ぶことにしました。
あえて業界1位ではないITTOみやび個別指導学院を選んだのは、愛知県発祥のため関東圏に出店数が少なかったことも理由の一つだったそうです。
自分の住んでいる関東エリアで多店舗展開の野望を持っていた喜多野さんは、FC本部代表者と会談。
話はすぐにまとまりました。
こうして、2003年に学習塾WITSを開業。
喜多野さんは右腕として2人を採用。
当初は3人からのスタートで資金がなく、通帳の残高は50万円を切っていたそうです。
今月の給料を払っていけるのだろうか、ヒヤヒヤしたと苦笑しながら話すのが印象的です。
創業して今年で17年。最初に採用した2人は退職することなく、今ではWITSの役員で、子会社の代表も兼務しています。
自分のビジョンを信じて付いてきてくれたことに喜多野さんは、感謝をしており、その様子からも社員への愛情と尊敬が感じられます。
3年後の離職率100%から…見直したマネジメント
創業して5年後・・・。
コンサルタントの経験から、20店舗(教室)を出すときに踊り場を迎える会社が多いと感じたので、出店数が20教室になる手前で出店を控えたとのことです。
しかし、時が過ぎてしまえば、1から2にする苦労の方が大きかったそうで、
独立起業後に読んだ神田昌典の『成功者の告白』は、とても参考になったと喜多野さんは話します。
『成功者の告白』のサブキャッチが「5年間の起業ノウハウを3時間で学べる物語」と記載されているところも興味深い話です。
この時の従業員は、アルバイトを合わせて175人まで増えていました。
翌年の2009年からリクナビで新卒を募集。
リーマンショックの影響か、採用に困ることはなかったのですが・・・
入社した新卒社員は、退職者が続出、3年後の離職率は、なんと100%。
そこで、「勢い」「当たり前のことを当たり前にやる」といった喜多野さん・WITSのパーソナリティは維持しながらも、仕組みとしてのマネジメント法を見直しました。
まず、本人の能力に見合った労働環境を作り、意識の高い人と低い人を交流させないようにしたのです。
これにより、低い層に位置づけられた人は覚醒してほしいと期待、そして意識の高い社員はよりレベルの高い仕事をスムーズにこなすようになりました。
また、役職者向けに『賭博黙示録カイジ』や『スラムダンク』を内定者のうちから読ませるなど、マンガを人材育成の共通言語にしたそうです。
採用する人材の選別として、見た目で判断することは難しいと考え、応募者に自分のビジョンを熱く語り、それに賛同してくれる人を全員採用するスタンスを取っています。
さらに、内定してからも、毎日20項目に及ぶ日報を提出。
これは、社会人としてのスタートダッシュをさせるという狙いと、この段階から意識の高低を見極める狙いがあるといいます。
その甲斐あってか、3年後の離職率は9%まで減少!
また、WITSのホームページからも、新卒・中途採用のミスマッチを防ぐため、そして定着率につながるような、遊び心が滲み出しています。
ぜひ、ご覧になってみると採用の参考になるかもしれません。
このような遊び心とデータに基づいた型にとらわれない施策も、離職率を減らしている要因ではないでしょうか。
そして今では、従業員400名を抱え、2023年に130教室を展開するFCの学習塾でトップシェアをしめるまでになりました。
「率直に申し上げると過去の塾業界はブラックですよ」と、喜多野さんは、10年間現場で働いた経験から塾業界を一刀両断します。
収益が出ている塾の多くは、サービス残業を多く課しており、労働者から搾取を行っているような状態が多く、塾の収益は正社員のサービス残業から成り立っていると言っても過言でないといいます。
そんな塾業界を根幹から変えて行きたいと話し、少しずつではあるが、同業者から喜多野さんの意見に同調する方も出てきているとのことです。
今後新たなチャレンジから、どんな価値を創造するのか!?
喜多野さんは、地域を活性化させるために塾を増やすだけでなく、分社化して、1つの地域で塾以外にも、たくさん事業を興したいという考えがあります。
「 ”自己満足”がなければ、仕事は続きませんし、”他者や世の中に貢献する事”とが合致しなければ、会社は存続することはできない! 」
と語ります。
実は足掛け3年、WITSでは、生徒の成績が上がった分を「お金」に換算し、カンボジアに1000人規模の生徒が通える学校をリニューアルする計画を進めてきました。
これは社員や生徒のみなさんの協力があってこそ実現したプロジェクトでもあります。
そして、このようにカンボジアの学校再建プロジェクトを長年やっていることも、子どもたちにただ勉強を教えるだけでなく、これから生きていくための考える力を養ってほしいと願っています。
地域を活性化させるために、1つの地域で塾以外にも、たくさん事業を興したいと考えていることも、すべて、"他者や世の中に貢献する事"と"自己満足"が合致しているからだといいます。
その結果、チャレンジするからこそ、そこに価値が生まれるのです。
「0から1にするより、1を100にするほうが得意です。アイデアはあっても、どう展開していけば分からない方は、私とアライアンスを組みませんか?コンサルタントの経験もあるので、福利厚生や法人のことで気になることは相談してください」
と各方面へのコラボレーションを呼びかけています。
昨今では、そんなきっかけから、学習塾のみならず、宇都宮大学との共同で、発達障害の方向けの特別な学習方法を全国に広めるためにスタッフとともに尽力していらっしゃいます。
この新たな社会的インパクトあるチャレンジも、引き続き、喜多野さんに密着しながら、おってご報告をしたいと思います。
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